Japanische Klassiker mit Furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
三
式事もすむ頃――
そこへ、義経からの、壇ノ浦大捷の報を齎して、急使が着いた。
「折も折、この快報!」
居あわせた群臣は、万歳のどよめきを揚げた。
藤判官邦通は、注進の状を、高らかに読みあげた。――海戦の状況、相互の死傷、生擒った平家方の諸大将の名までつぶさであった。
「…………」
終ると、頼朝は額ずいて、鶴ヶ岡八幡のほうを伏拝んだ。
政子の睫毛に涙が光った。頼朝の頬にも一すじ白いものがながれた。
「遂に平家も、亡び去った」
扈従の臣も、万感を抱いて、帰館のあとにしたがった。
老鶯が啼きぬいている。花は落ちて泥土に白い。鎌倉の春も更けたかと想わせる――
日を経て。
頼朝は営中の一室に、梶原景時を近づけていた。
「……義経が行状、その後もやはりそうした体か、鎌倉の威力あっての奇功と思わず、すべてを、自力と思いあがって、我儘を振舞いおるよな」
頼朝は怒っていた。
聡明なる覇者も、佞奸の眼から見れば甘い。覇者なるが故の弱点がある。
「幼少生死にさまよい、二十年を配所にひそみ、臥薪嘗胆、ようやくここに至った覇業を、彼一人のため、私情に紊し、禍根を長くのこしてなろうや。