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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme

Aozora Bunko

銭形平次捕物控

一

一

「親分、何をしていなさるんで?」

ガラッ八の八五郎は、庭口からヌッと長い顎を出しました。

「もう蟻が出て来たぜ八、早いものだな」

江戸開府以来と言われた名御用聞、銭形平次ともあろう者が、早春の庭に踞んで、この勤勉な昆虫の活動を眺めていたのです。

生温かい陽は、平次の髷節から肩を流れて、盛りを過ぎた梅と福寿草の鉢に淀んでおります。

「大層暇なんだね、親分」

「結構な御時世さ。御用聞が昼近く起出して、蟻や蚯蚓と話をしているんだもの」

「へッ、へッ、その暇なところで一つ逢って貰いたい人があるんだが――」

「お客はどこに居なさるんだ」

「あっしの家へ飛込んだのを、つれて来ましたよ。少しばかりの知合を辿って、入谷から飛んで来たんだそうで――」

「なんだって庭先なんかへ廻るんだ。お客様が一緒なら、大玄関へ通りゃいいのに」

「へッ、その大玄関は張物板で塞がっていますよ――木戸から庭を覗いて下さい、親分が煙草の煙で曲芸をしているはずだから――と、奥方様がおっしゃる」

「馬鹿だなア」

平次の顔は笑っております。自分が馬鹿なのか、女房のお静が馬鹿なのか、それともガラッ八が馬鹿なのか、自分でも主格がはっきりしない様子です。