Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
ガラッ八は息せき切りながら、憑かれた人のように言い続けます。抜群な美しさに恵まれた娘の死顔に、さすが事になれた八五郎も攪乱させられたのです。
平次は顔もろくに洗わずに、佐久間町の丁子屋まで飛びました。
「裏へ廻ろう、八」
いきなりお富の部屋へ、一歩踏み込むと、血潮の中に崩折れた、白牡丹の花のような、世にも痛々しいお富の死体を取巻いて、主人の茂三郎始め、一同ただウロウロするばかりです。
「雨戸に手を掛けなかったでしょうな」
「ヘエ――」
コジ開けた様子のないところをみると、多分、お富が自分で開けたのでしょう。
「話声や、物音は聞えなかったでしょうか」
「誰も何にも聴きません。今朝小僧が起きて雨戸を開けようとして、驚いたようなわけで」
主人の茂三郎です。
そっと死体を起してみると、左乳の下を刀で突いたのが致命傷で、如何にも美事な手際ですから、お富は声も立てずに死んだことでしょう。手掛りは何にもありません。
「八、――ここには何にも捜すことはない。手前は湯島へ行って、昨夜、馬場要と内儀のお米が、どこに居て何をしたか、出来るだけ詳しく聞出してくれ」
「また引っこ抜かれますよ、親分」