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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme

Aozora Bunko

平次は遠慮もなく次の部屋の障子をサッと開けました。

「あッ」

物に脅えたように、思わず立ち上がったのは十七八の娘、見る人によってはずいぶん美しいとも言うでしょう。脂肪質の豊満な肉体と、娘々したあどけなさが妙に人を引き付けます。

「お嬢さん、ちょいと見せて下さい」

平次はざっと部屋の中を見廻して、父親の部屋に通ずる境の唐紙などを動かしたりしております。部屋の中には鏡台が一つ、火鉢が一つ、針箱が一つ。あとには何にもありません。

「あの――」

娘は何やら物言いた気ですが、何に脅えたか、また口を緘してしまいました。

「お嬢さん、なにか知ってることがあったら言って下さい」

平次はそれへ誘いをかけましたが、一度緘された娘の唇は、容易に開きそうもありません。

娘の部屋の隣は納戸で、納戸の先は暗い四畳半。そこに親類の娘というお町が、長い癆咳を患って寝ているのでした。

「御免よ――」

スッと無違慮に入った平次。部屋の中の薬臭いのに、さずがに顔を反けました。

「…………」

黙って見上げた病人の眼は、不思議に活き活きと光っております。

二十三というには少し老けて、病苦のやつれが頬を刻んでおりますが、蒼白い顔は名工の鑿の跡が匂うよう。