Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「どうしたんだ」

「まだ朝飯にありつかないんで、――あわてて飛出したが、空っ腹に小石川は遠すぎましたよ」

「馬鹿だなア」

八五郎のために遅い朝飯の用意をする女房のお静の後ろ姿を見ながら平次は苦笑しました。

二

陸尺町の成瀬屋へ行ったのは、もう昼近いころ、検屍万端済んでしまって、お葬いの仕度に忙しい有様でした。

店の人達の白い眼の中に、土地の御用聞金富の留吉だけは、ホッとした顔で迎えてくれます。

「銭形の親分が来てくれさえすれば、亡霊も退散するだろう。こいつはどうも、あっしの手におえそうもない」

若い留吉は、よく己を知っております。

「どうしたんだ、金富町の兄哥らしくもない。昔から下手人に足のなかった例しはないよ」

平次ははなっからこれを生きている人間の仕業と見抜いている様子です。

「だが、こいつは人間業じゃないぜ。戸締りは伝馬町の大牢のように厳重だ、開いているのはお勝手の引窓がたった一つ。そんなところから出入りするのは、烟と風だけだ」

「まア、見せて貰おう」

成瀬屋というのは、山の手きっての大地主で、この辺一帯、旗本御家人の屋敷でなければ、成瀬屋の持地と言っても大した間違いのないほどでした。