Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme
五
あれは大笑いで、へッへッ」
喜三郎の笑いは歪みます。
五
「色が黒くて、背が高くて、頑丈で、茶がかった万筋の古袷を着ているのは誰だえ」
平次は家へ入って来ると、近所の衆に訊きました。
「そいつは伊勢屋さんじゃありませんか。――師匠と一緒に暮した伊勢屋新兵衛そっくりですよ」
「その伊勢屋は今どうしているだろう」
「家は近所ですが、二三日見えませんよ」
口はたいてい揃います。
さっそく八五郎を出してやって、心当りを隈なく捜させましたが、伊勢屋親兵衛はどこへ行ったか、日が暮れるまでとうとう見付かりません。
この伊勢屋新兵衛というのは、かつては向柳原の大きな雑穀問屋で、三四代つづいた老舗でしたが、主人の新兵衛がお今という女房があるのに、水本賀奈女に夢中になり、一年ばかり一緒に住んでいるうちに、数千両の身代を費い果した上、賀奈女には小気味よく捨てられて、スゴスゴと自分の家へ帰った時は、女房のお今は重なる苦労に打ちひしがれ、もう起つことも出来ない重態だったのです。
その後まもなくお今は死にました。事情が事情だったので自殺だという噂も立ちましたが、事実はひどい懊悩と貧苦のために、癆症が重くなり“帰った夫”を迎えて、もう一度以前の平和な生活を楽しむことも出来なかったのです。