Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme
赤い唇も、すこし殺げた顎も、異様な上品さをさえ添えるのでした。
「どうだ、気分は」
「ありがとうございます。この通りで、皆さんに御心配をかけております」
痛々しく伏せた眉、臈たけく霞むのも不思議な魅力でした。
「ちょいと脈を見せてくれ。――いや右じゃない左だ」
平次は病人の枕元に踞むと、柄にもなく脈などを取りました。痩せてはいるが美しい腕です。
「ヘエ、――親分が脈を診るんですか」
ヌッと顔を出したのはガラッ八でした。
「黙っていろ、医者や易者の心得もなきゃ御用は勤まらないぞ」
「へ――ッ」
八五郎は引っ込みのつかない様子で突っ立ちました。苦笑いを殺した唇は歪みます。
「ところで、お前はここの主人と、どういう掛り合いになるんだ」
平次は娘の枕元に坐り込んでしまいました。
「――私は、あの、先代の成瀬屋の血統の者でございます」
「ホ――ッ」
変な声を出したのはガラッ八です。
「成瀬屋の先代が身代限りをしそうになったのを、遠縁の今の主人が入って立て直し、私は孤児になってさるお屋敷に奉公していたのを、ここに引取られて育てられました」
お町の調子は淡々としてなんの抑揚もありません。