Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme
神津一家に蔽い冠さる災厄を、この名御用聞の手で取払って貰いたさで一杯だったのでしょう。
「もう一度あの晩の事を伺いますが」
「何なりと」
「曲者は千両箱を持っておりましたでしょうか」
「チラと見ただけで、よくは判らなかったが、何にも持っていなかったと思う。私がとがるめと、『馬鹿奴ッ』と言い捨てて、庭に飛び降りた。声が祭文語りのように錆びていたのと、足の悪いのはすぐわかったが、庭に飛降りたはずの曲者は、すぐ姿を消してしまって、多勢で捜したが、どこへ隠れたかわからなかった。逃げるにしても、あの通り塀は高いのだが――」
「庭を拝見いたします」
「さアさア遠慮なく」
庭下駄を借りて、下に降りた平次は、植込みから縁の下まで覗きましたが、人間が一と晩隠れているような物蔭があろうとも思われません。吉弥が言った通り、塀は一丈あまり、容易に飛越せるはずもなかったのです。
「その晩、月は?」
「朧月であったよ」
後ろからつづく吉弥は応えました。
「ところで、お庭に虎耳草はないでしょうか」
「虎耳草というと?」
「赤い茎に丸い毛のある葉が出て、白い小さい花の咲く――井戸草とも言いますが」
「庭にはないが、あ、裏の三日月の井戸には沢山ある」