Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.804 Zeichen · 225 Bildschirme
六
平次はその不気味な笑いを背に聴いて、手燭を取って井戸に近づきました。
チラリと灯先が曲者の顔のあたりを照らします。黒い覆面から漏れたのは、鉛色の濁った皮膚、洞ろな眼の穴――多分それは彦徳の仮面でしょう。
次の瞬間、平次は手燭を持ったまま、井戸の上へ乗り出しておりました。深い深い井戸、石を畳み上げて、苔と虎耳草の一杯に付いた石垣の下、真っ黒な水の底の底に、そういえば何やら四角なものが沈んでいるようでもあります。もう少しよく見定めようとした平次、身体を充分に乗り出したところを、
「あーッ」
無意識に乗っていた板を後ろからサッと引かれて、平次の身体は真っ逆さまに井戸の中へ――。
「ヒ、ヒ、ヒ、ヒ、ヒ」
怪鳥のような笑いが、小日向の夜に木霊します。
六
曲者――彦徳の源太は、かねて用意したらしい竹竿を手に取って、井戸の上から覗きました。中の平次が這い上がろうとすれば、一気に突き落すだけの事です。
が、しかし、不思議な事に平次は這い上がる様子もなく、第一、落ちた時、水音も立てなかったのは何とした事でしょう。
「?」
上から、竹竿を構えてそっと差しのぞく曲者。
「野郎ッ、御用だぞッ」