Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
本来ならもう少し早く覗いておくべきですが、三輪の万七が乗出したと聴いて、引込み思案の平次が顔を出さずにいるうちに、事件は急進展して、八五郎の歎きを見ることになったのです。
近所の噂や、八五郎の見聞きしたことを綜合すると、ゆうべ亥刻半(十一時)過ぎ、町内の夜講帰りが二三人、無駄話をしながら通ると、平右衛門町の路地の奥、町の者が船着き場にしている形ばかりの桟橋の手前に、何やら倒れている者があったのです。
少し遅い月がようやく河心を照らし初めた頃で、うっかり知らずに通るところでしたが、そのうちの一人がつまずきそうになって悲鳴をあげ、それから大騒ぎが始まりました。
灯で見ると、倒れているのは三十五六の浪人者で(後でそれは福井町に住んでいる城弾三郎と知れましたが)、脇差で左の胸を深々と刺され、切尖が白々と背に突き抜けたまま、横っ倒しになってこと切れておりました。
脇差を抜かずにあるので、大した血は流れませんが、鞘はその辺に見当りません。変っているのは、死骸の下半身がぐっしょり濡れていたことで、川から這い上がったところをやられたとしか思えませんが、身扮の立派な浪人者が、夜の大川へどんな目的で入ったかは見当もつかなかったのです。