Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
この通り、親分は疳性で、掛物も置物もない部屋です」
喜太郎はあたりを見廻してパアと手をひろげました。衝立一つ、煙草盆一つ、行灯が一つ、他にはなんの興味も装飾もない、鐘五郎の無趣味な生活が、よく現れている部屋でした。
「雨戸を開けたのは?」
「三河町の親分がお出でになってからでした」
「そのとき廊下を通った人はないのだな」
「廊下には三十何人の子分が、目白押しになっていましたよ。頭の上でも渡らなきゃ通れるわけはありません」
喜太郎は平次のくどいのを馬鹿にしたようにひょいと廊下の方へ顎をしゃくるのでした。
「親分の評判はどうだった。――親分を怨んでる者はないのか」
「そいつはどうも、へッ」
喜太郎はさすがに答え兼ねました。勢いと力の付いている喜太郎にしては、親分の評判などは、どうでもいい問題だったにしても、改めてこう訊かれると、さすがにズケズケしたことも言えません。
つづいて六助に会ってみました。これはまだ三十そこそこの分別者らしい男ですが、もとは溝口屋と張り合って没落した飯田町の伏見屋の身内だったことは、平次もよく知っております。
「いつからここへ来ているんだ」