Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
ある日、豹一は突然校長室へ呼びつけられた。
「蛸を釣られる」のだろうと、度胸を決めて、しかしさすがに蒼い顔をして行くと、校長は、
「君に相談があるのや。掛け給え」と言った。風向きが違うぞと豹一は思い、もし風紀係にでもなれという相談だったら断ろうという覚悟を椅子にどっかりと乗せていると、
「君高等学校へ行く気はないか」
と意外なことを訊かれた。つい最近も教室で上級学校志望の調査表を配られた。四年生になると、もう卒業後の志望を決めて置く必要があるのだった。彼は上級学校へ行く希望はない旨、書き入れて置いた。中学校を卒業させてくれるだけで精一杯の母親のことを考えると、行きたくても行けぬところだったのである。
「はあ、べつに……」と答えた。
「なぜかね?」校長が訊いたが、豹一は答えられなかった。自分の境遇を説明出来なかった。
「なんででも、行きたいことないんです」
「そりゃ惜しいね」と校長は言い、「実は……」と説明したのはこうだった。ある篤志家があって、大阪府下の貧しい家の子弟に学資を出してやりたい。無論、条件がある。品行方正の秀才で四年から高等学校の試験に合格した者に限る。