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Japanische Klassiker mit Furigana

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しげき「すいせんともくぎょ」

三好十郎の仕事 別巻

三好 十郎

Lesen Sie 三好十郎の仕事 別巻 (しげき「すいせんともくぎょ」) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.145 Zeichen · 440 Bildschirme

Aozora Bunko

たまりません、耐えきれません私は。

イヤです、痛いのです。どうしよう?

今でも、夢の中までも

われとわが身をかきむしるのは

それほど好きでも死んでもいいと思っていたあの人に

私が私をあげなかった事だ。

世の中もあの人も私も忙しかった

息せき切って駈けるような日暮しで

ユックリ逢っている暇はなかった、

しかしその気がありさえすれば

駅のほとりの立ち話しのコンクリートの壁の片かげで

空襲でかけこんだ防空壕の奥の闇で

面会に行った兵営の隅の草のかげで

私をあの人にあげられなかった筈はない。

からだの奥でカッとなって燃えていて、

取ってちょうだい取ってちょうだいと

心が叫んでおりながら、

私自身がそれをそうだと気が附かなかった、

あの人もまた私に求めておりながら

それをそうだと気がつかず

それを取るスベを知らなかった、

そしては、やさしい深い良い眼をして

私のからだを包みこみ、

包みこまれて、私はブルブルふるえていたっきり。

そうだ! あげなければならない人にはあげないで

この通り、与えたくもない人に与えてる!

自分の真珠を王子さまにはあげなかった小娘が

あとになって、そこらの豚に手当りしだいに投げてやってる。