Japanische Klassiker mit Furigana
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しげき「すいせんともくぎょ」
三好十郎の仕事 別巻
三好 十郎
Lesen Sie 三好十郎の仕事 別巻 (しげき「すいせんともくぎょ」) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.145 Zeichen · 440 Bildschirme
ほほえみながらその歌声に耳を貸していた。
私は目まいをこらえながら、だまって先生たちにお辞儀をして玄関に出て
ヨレヨレの運動ぐつをはいて外に出た
歌声はまだ私を追いかけて来た
歩きながら私はなんにも考えていたのではない
また、何かを感じていたのでもない
遠い、遠い所を歩いているような
寂しいような、スーッと、おだやかなような
どこにも何のサワリもないような気持がした。
私の前を横切ろうとした犬が一匹
私の顔を見上げて、
けげんそうな、おびえたような顔をして
コソコソと小走りに向うへ行った
川のふちに出た。
電車のことは思い出しもしなかった
思い出しても、それには乗らなかったろう
電車賃がなかっただけではない
たとえ有っても、乗らなかっただろう
川のふちの小道を
水の流れの方向にスタスタと歩いた
その川は、これまでに、たくさんの人の命を呑んだ川
そうだ、あの時私も飛びこんでもよかった
しかし不思議なことにその時はそんな事は考えつきもしなかった
生きるとか死ぬとかの、もっとズッと向うの方へ歩いていた
川は、畑や林や森かげを縫い
ポツリポツリと家々の影をうつし
秋の終りの人声と物音をひびかせて
まだ暮れきらぬ夕空を映して