Japanische Klassiker mit Furigana
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ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
Lesen Sie 五重塔 (ごじゅうのとう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.316 Zeichen · 111 Bildschirme
其二十三
其二十三
蒼の飛ぶ時よそ視はなさず、鶴なら鶴の一点張りに雲をも穿ち風にも逆って目ざす獲物の、咽喉仏把攫までは合点せざるものなり。十兵衛いよいよ五重塔の工事するに定まってより寝ても起きてもそれ三昧、朝の飯喫うにも心の中では塔を噬み、夜の夢結ぶにも魂魄は九輪の頂を繞るほどなれば、まして仕事にかかっては妻あることも忘れ果て児のあることも忘れ果て、昨日の我を念頭に浮べもせず明日の我を想いもなさず、ただ一ト釿ふりあげて木を伐るときは満身の力をそれに籠め、一枚の図をひく時には一心の誠をそれに注ぎ、五尺の身体こそ犬鳴き鶏歌い権兵衛が家に吉慶あれば木工右衛門がところに悲哀ある俗世に在りもすれ、精神は紛たる因縁に奪られで必死とばかり勤め励めば、前の夜源太に面白からず思われしことの気にかからぬにはあらざれど、日ごろののっそりますます長じて、はやいずくにか風吹きたりしぐらいに自然軽う取り做し、やがてはとんと打ち忘れ、ただただ仕事にのみかかりしは愚かなるだけ情に鈍くて、一条道より外へは駈けぬ老牛の痴に似たりけり。
金箔銀箔瑠璃真珠水精以上合わせて五宝、丁子沈香白膠薫陸白檀以上合わせて五香、そのほか五薬五穀まで備えて大土祖神埴山彦神埴山媛神あらゆる鎮護の神々を祭る