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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

鴨に釣られて往こうものなら、此の崖から逆落しに滑り落ちるに相違なく、仮え生命に別条ないとしても、屹と大怪我をする所だ、アア危いと顔を見合せて、旧の処へ引返すと、釜の下は炎々と燃上って、今にも噴飛しそうに釜の蓋がガタガタ跳っている。ヤア飯が焦げるぞと、私が慌てて其の釜の蓋を取ると、中から湯気が真白に噴上げる、其の煙の中に大きな真青な人間の顔がありありと現われたから、コリャ大変だいよいよ怪物だと、一生懸命に釜の蓋を上から押えて、畜生、畜生ッ、オイ早く鉄砲を撃てと怒鳴る。他の二人も心得て、何処を的ともなしにドンドン鉄砲を撃つこと二三発、それから再び釜を覗いて見るとモウ何物も見えない。

山又山の奥ふかく分入ると、斯ういう不思議が毎々あるので、忌々しいから何うかして其の正体を見とどけて、一番退治して遣ろうと、仲間の者とも平生申合せているけれども、今に其の怪物の姿を見現わした者がないのは残念です。モウ一つ不思議なのは、これも二三年前の事、私が木曽の山の麓路を通ると、商人らしい風俗の旦那と手代二人が、木かげに立って珍らしそうに山を見あげているから、モシモシ何を御覧なさると近寄って尋ねると、旦那らしい人が山の上を指さして、アレ御覧なさい、アノ坊さんの担いでいる毛鑷の大きい事、実に珍らしいと云う。