Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
中間や侍女どもの説明によると、この怪しげな男はふた月ほど前から都の町をさまよっているのであった。どこからどうして来たのか知らないが、とにかく彼は大明から渡来の唐人で、何か判らない呪文のようなことを唱えながら毎日歩いているのである。彼が眇目の名を取ったのは、左の片眼が魚の鱗を挟んだような眇であるためで、それが彼の怪しげな人相をいよいよ怪しく見せているのであった。
町の人達はもう見馴れているので、さのみに珍らしいとも思っていないらしかったが、小供達はやはり彼のあとを追って何かからかったりしているのを、彼は別に煩さいとも感じていないらしく、悪太郎どもが時々に投げつける小石のいたずらに対しても、彼はいつでも笑顔を以って応えていた。
そんな説明を聞かされながら、小坂部はしばらく其処に立ち停まって、巷にさまようかの怪しい姿をながめていると、異国の男もその眇目で若い艶やかな処女を見付けたらしく、これも立ち停まってこちらをじっと見つめていたが、眼に見えない糸にひかれたように、やがてふらふらと歩み寄って来たので、侍女どもは気味悪そうにあわてて小坂部を囲った。中間も声を尖らせて叱った。