Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
「ええ、おのれ、邪魔な奴。退け、のけ。」
それを耳にもかけないように、異国の男は無遠慮に小坂部の前に進み近付いたかと思うと、忽ち大地に吸い付けられたようにその両膝を折って、さながらかれを礼拝するようにひざまずいた。怪しく窶れた人相は彼の年齢を老けさせているが、おそらく四十を多く越えていないのであろう。一方の陰った眇目に引きかえって、明かるい右の眼は燃えるように爛々とかがやいているのが小坂部の注意を惹いて、かれは思わず形をあらためた。
「退け、のけ。叱っ。」
中間は犬を追うように叱り退けようとしたが、彼は身動きもしなかった。いつの間に何処で習ったのか知らないが、彼は極めて鮮かな日本の詞で敬うように言った。
「おお、ここにござりましたか。わたくしはお身さまを尋ねて居りました。ようぞお逢い下された。」
いよいよ薄気味が悪くなって、侍女どもは思わず逡巡すると、中間は主人のおん大事というように姫を囲って彼の前に立ちはだかった。
「おのれ、何者じゃ。お微行じゃで御苗字は申さぬが、これは当時この都に隠れもない御大身の御息女でおわしますぞ。仮りにも無礼を働いたら、おのれが首も手足もばらばらに引き放されてしまうと思え。