Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
退け、退け。」
その途端に、低い叫び声が小坂部の口を衝いて出た。
「あ、眇目の男……。」
これにおどろかされた采女は、梟のような眼をして暗いなかを透かして視ると、星明かりに窺われた彼の姿は、たしかに異国の風俗であるらしく思われた。時が時、場所が場所であるので、采女も思わずぎょっとして、すぐに太刀に手をかけて立ち停まった。
「おのれ、退け。邪魔するな。」
すわといわば容赦せぬという気勢を示したが、相手はびくともしないらしかった。彼は暗い足もとにひざまずいてささやいた。
「館へ戻られてはお身達のためにならぬ。引っ返されい。」
「引っ返してどこへ……。」と、小坂部はひと足すすみ出て訊いた。
「わたくしが御案内申しまする。われらの神の住むところへ……。」
「や、異国か。」と、采女は再び彼を睨めた。「但しは我々をあざむいて、中国九州の敵どもへ人質に渡そうとか。」
「なんの、あざむくことではござらぬ。ともかくわたくしの御案内する方へ……。」
小坂部のそばへ近寄ろうとする彼を、采女はあわてて押しのけた。
「ええ、ならぬ。おのれ執念く付きまつわると命がないと思え。」
いかに美しく、やさしげに見えても、采女は坂東武者の血をうけた其の時代の若い武士である。