Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
唯わたくしと一緒においでなされませ。遠い異国ではござらぬ。ついそこの中国筋じゃ。お身のゆく所はそこよりほかはござらぬ。さあ、お越しなされませ。」
小坂部はまだ返答に躊躇していたが、采女はもう彼を突き倒してゆくほどの勇気はなかった。眇目の男は不決断の人々を急き立てるように口早にまた言った。
「さあ早う。猶予している場合ではござらぬ。お身たちは狩場の鳥獣じゃ。狩人に見付けられたら何とせらるる。さ、早う。」
こう言うところへ、大勢の足音が近付いた。追っ手かと三人は屹と見かえると、それは十四五人であるらしく、この木枯しに松明を奪われたのか、但しはわざと灯を持たせないのか、暗い中をただひとかたまりになって、葬列のようにひそひそと歩んで来た。それをやりすごしながら、眇目の男はささやいた。
「あれは塩冶の奥方じゃ。丹波越しに本国の出雲へ落つるのじゃ。」
星明かりに透かして視ると、なにさまその一と群れは女の輿を取り囲んでいるらしかった。よい道連れか、悪い道連れか、呼びかけて一緒に行こうか、行くまいかと、小坂部はしばらく思案していると、その心を覚ったように眇目の男はまたささやいた。