Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
「あの人々と一緒に落ちたら、追っ手のかかるは知れたことじゃ。路を変えてお落ちなされ。」
彼の言うことも道理であった。世を忍ぶ落人が大勢つながってゆくのは利益でない。もう一つには、この眇目の男が今夜の行動を考えると、彼はほとんど何もかも見透して、普通の人間とは思われないのである。小坂部はいっそ自分たちの運命を彼の手にゆだねて、行くところまで行って見ようと決心した。
男は無言で先きに立って行った。小坂部はつづいて歩み出した。采女も侍従ももう争う気力もないらしく、唯おめおめとそのあとに引かれて行った。ひと口に中国筋といっても、果たしてどこへ連れて行かれるのか、三人は勿論知らなかった。かれらはもう夢のような心持で鼻綱を結われた牛のように、かの眇目の男の導くままに、引き摺られて行った。京を離れた頃には、夜ももう更けていた。
「まだまだ油断はならぬ。疲れても歩みつづけられい。」と、男は三人に注意した。「あすの朝までが命の瀬戸じゃ。」
かれらは木枯しに吹きさらされながら、方角も判らぬ暗い寒い夜の路を歩みつづけた。その途中で五、六騎の武者が蹄の音を忙しくして駈け通るのを見た。