Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
(李も渋々ながら奥に入る。旅の男は冷然として聴いている。やがて室内にて李の声。)
李中行 なるほど不思議だな。こんなに重い筈はなかったのだが……。(出て来る。)もし、おまえさん。ちょいと手を仮してくれないか。
(旅の男は無言にて立上り、李と共に室内に入りしが、やがて夫婦と三人がかりにて、一個の小さい革の箱を重そうに持ち出して来て、卓の上に置く。)
柳 こんなに小さい箱がどうして重いのだろうね。
李中行 三年前にあずかった時には、こんなに重いとは思わなかったが……。どうも不思議だな。
旅の男 (嘆息して。)いえ、あの時にも重かったのです。それで拠ろなく預けて行ったのです。
李中行 一体このなかには何が這入っているのだな。金の塊でも積め込んであるのかね。
旅の男 (おごそかに。)金の塊よりも貴い物が収めてあるのです。
柳 それでは玉か宝石のたぐいでも入れてあるんですかえ。
旅の男 これは私の命にも換えがたい大切の品で、これを持って諸国をめぐっているうちに、三年前の八月、この大連の町へ来る途中で、俄にこの箱が重くなって、どうしても動かなくなりました。そこでこちらの御厄介になったのですが、明くる朝になっても箱はやはり重いのです。