Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
まあ、まあ、ここへ掛けなさい。
(旅の男は会釈しただけで、やはり立っている。)
李中行 そこでお前さんは、あれから三年の間、どこを歩いていなすったのだ。
旅の男 それからそれへと旅の空をさまよっていました。いや、そんなお話をしていると、長くなります。おあずけ申して置いた箱を受取って、今夜はこのまま帰るとしましょう。
李中行 そんなに急ぎなさるのかね。
旅の男 急がないでもありません。どうぞあの箱を直ぐにお渡しください。
李中行 はは、わたし達は正直物だ。預かり物は大切に仕舞ってあるから、安心しなさい。(柳に。)さあ、持って来て早く渡して遣るが好い。
(柳は一室に入る。旅の男はやはり立っている。やがて奥にて柳の声。)
柳、ちょいと、お前さん……。
李中行 なんだ。
柳 どうも不思議なことがあるんですよ。
李中行 なにが不思議だ。
柳 あの箱が大へんに重くなって、わたしの力じゃあ迚も動かせないんですよ。
李中行 馬鹿なことを云え。あのくらいの箱が持てないと云うことがあるものか。
柳 それでも鉄のように重くなって、些っとも動かないんですよ。
李中行 なにを云っているのだ。まだそれ程の年でもないのに、おまえは些っと耄碌したようだな。