Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
その床の裂れ目からは枯れたすすきが長い穂を出していたので、彼の足はその葉に触れてがさがさと響いた。それと同時に、奥の方でも衣ずれのような音が不意にきこえた。音は極めて微かなものであったが、あたりが森としているので二人の耳にも確かに聴き取れた。兄と弟は黙って顔を見合わせた。
噂の通りの幽霊か、但しはここを棲家とする山賊のたぐいかと、二人は少し躊躇したが、乗りかかった舟で今さら引っ返すことも出来ないので、かれらは蟆蛙のように床を這って、いよいよその百畳敷らしいところまで忍び込んだ。雨戸はみな明け放されている筈であるのに、外の光りも奥の奥まではとどかぬと見えて、広い書院は昼か夜か判らないほどに暗かった。二人は少しく頭をあげて、その暗い隅々をうかがうと、上段の間と思われるところに、ひとりの上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)の行儀よく坐っているのが、浮き出したようにくっきりと見えた。それが若い女、しかも彼等が生まれてから曽て見たことのないような容顔美麗の上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)であったので、かれらは又ぎょっとした。