Japanische Klassiker mit Furigana
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あおいはらふじんのたいつり
垢石釣游記
佐藤 垢石
Lesen Sie 垢石釣游記 (あおいはらふじんのたいつり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.298 Zeichen · 100 Bildschirme
秋の鮎
秋がくると食べものがおいしい。私のように冬でも夏でも年中川や海へ釣の旅をして、鮮しい魚を嗜んでいるものでも、秋がくると特に魚漿にうま味が出てくるのを感ずるのである。
殊に、今年の立秋からの鮎はおいしかったように思う。一体今年位鮎の育ちの遅れていた年はなかった。例年ならば、土用あけには肥育ちの絶頂に達し、丈も伸び肉も円みもついて八月中旬過ぎには腹に片子を持つのであるが、今年は土用があけても稚鮎の姿をしていた。随って、腹に片子を持っている鮎も、まれであった。
陽気も一体に遅れているように感ずる。いつもの年には、秋が立つと日中は暑いけれど、朝夕には爽やかな北の風が忍び吹いて肌に清涼を覚えるのであるが、空の雲にも気の動きにも初秋らしいものを感じなかった。ただ、暑い暑いといって喘いでいたのである。旧盆が八月下旬にきた位であるから、陽気が遅れているのが当り前であったであろう。
鮎も陽気と共に、育ちが遅れていた。私は秋が立つと、上越国境を越えて新潟県の魚野川へ鮎を求めて友釣の旅に出た。それは、八月の十日ごろであった。恙虫がいるので有名な浦佐町の地先で釣ったのだけれど、最初のうちは鮎の姿の小さいのに驚いたのである。