Japanische Klassiker mit Furigana
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あおいはらふじんのたいつり
垢石釣游記
佐藤 垢石
Lesen Sie 垢石釣游記 (あおいはらふじんのたいつり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.298 Zeichen · 100 Bildschirme
三
だから小さい捕鯨船であれば頭の一と突きか尻尾一と跳ねでひっくり返ってしまう。先年金華山沖で鯨船が抹香鯨の頭の一と突きに出遭って、船底を破られ犠牲者を大分出した、と丹下船長は僕等をこわがらせる。
なかなか濃霧は去らない。鯨の群はさっぱり姿を見せないのだ。
午飯の用意が出来たといって、船の少年給仕が僕等を迎えに来た。
三
船の食堂の卓子の上を見ると、御馳走の山だ。
先ず僕がはしをつけたのは、鯨肉の刺身だ。素敵においしい。
僕は鯨の刺身を食うのは生れてはじめてだが、その味品の上等なのに一驚を喫した。牛肉のように舌を圧する重みがなく、マグロ肉のように口中にからまる脂肪のあくどさもない。まことに淡白だ。そして、ほんのりと軽い脂肪がある。次に鯨肉のカツレツが卓上に現れた。これも、素晴らしい。やわらかだ。罐詰の鯨肉のような臭みが、ちょっともない。
僕は、口をもがもがさせながら絶賞の声をあげた。すると丹下船長は――これは、鰮鯨の腰肉といって尻尾に近いところに僅かにある肉だが、この肉は刺身にしてもカツにこしらえてもテキに焼いても、挽肉にしても、味噌漬、醤油漬、酢味噌、スキ焼など何に料理してもおいしい。