Japanische Klassiker mit Furigana
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あおいはらふじんのたいつり
垢石釣游記
佐藤 垢石
Lesen Sie 垢石釣游記 (あおいはらふじんのたいつり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.298 Zeichen · 100 Bildschirme
四
ここが、最も良く沖の展望が利く所なのだ。
四
船は、次第に鯨に迫って行くらしい。突然――ほんの瞬間――船の右舷から三、四十間ばかり離れていると思う波の上へ黒い円い大きなものが浮び上った。僕の胸はどきっとした。
「二頭いる!」
クロス・ネストの上から水夫長が叫んだ。
本当に瞬間、僕の眼にうつったのであるけれど、鯨のお尻はむっちりとふとって大きなものだ。黒い背中に、小さい背びれがある。だが、頭は見えなかった。
水中へ沈んだ。
追跡、フルスピード!
送話管から汽罐室へ激しい号令が伝わった。また、鯨群に追いついたらしい。ポード(左)スターンポード(右)などと、頻繁に舵手へ号令が取次がれる。
鯨は、船に追われると海の中層を、稲妻形に全速力で走り逃げるのだ。船も、やはり稲妻形に舵を取って追尾して行く。舵手の手は目がまわるように、忙しく動く。
ハーフスピードという号令に次いで、チョイスローという声が掛った。間近く、再び砲手の前の波の上へ姿を出す距離に近づいたのだ。続いて、ブリスローという号令が掛った。そのとき、クロス・ネストの水夫長は、何かはげしい声をあげたかと思うと、船首の船長は砲の口を左舷の海面へ向け、中腰になって両脚を張った。