Japanische Klassiker mit Furigana
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あおいはらふじんのたいつり
垢石釣游記
佐藤 垢石
Lesen Sie 垢石釣游記 (あおいはらふじんのたいつり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.298 Zeichen · 100 Bildschirme
翌晩、約束の通り東京駅のホームで落ち合った。井伏君の持ってきた道具は、鮒竿に投網に水眼鏡だけである。まことに意外の訳だ。汽車のなかで、鮎釣をはじめたと言うならば何かも少し鮎釣らしい整った道具を持っていそうなものではないか、ときいて見ると、いや釣道具屋の親爺が、あなたの鮎釣にはこの鮒竿で結構であると言うから、その言葉に従ってこれにしている。投網の方は、釣の方がうまく行かなかったときに、一かぶせにかぶせるつもりでいる。だが、何れにしてもいままで、伊豆の河津川や仁科川、それから相模川などでやって見たけれど、なかなかうまく行かない。そこで、君に入門の申し込みをした訳だと言う。
よし、やむを得ない。持ち合せのないものを汽車に乗ってから兎や角言ったところではじまらない。釣場へ行ってから、友釣に必要な一切の道具を工面しよう。
明け方、身延線の十島駅へついた。十島駅の地先は、富士川の中流である。中流であると言うが、激流だ。甲州の山奥駒ヶ岳の方から出てくるのが釜無川、甲武信ヶ岳の方から出てくるのが笛吹川、この二川が、鰍沢の地先で合流すると流れは俄然大河の姿を現して、巌を噛む激湍に妖魅さえも感ずる。