Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
下り道は上り道よりも楽であります。上野原泊りの予定は、遊びながらでも着くことができるのであります。
能登守は柄に似合わない健脚でした。いちばん早く参るだろうと思われた能登守がいちばん疲れないで歩いて来ましたから、
「御支配は健脚だ、いや身体の華奢なものはそれだけ足の負担が軽いからそれで疲れないので、我々は頑健肥満に生れた罰でかえって山路に難渋する」
と言って、与力のなかで、いちばん肥満していちばんよく話をした男が、いちばん早く疲れて愚痴を言いました。
「おのおの方は、あまりよく口を利きなさるからそれで疲れるのだろう、すべて険岨を通る時や遠路をする時は、あまり口を利かない方がよいそうじゃ」
能登守はこう言った。なるほど、いちばん疲れない能登守がいちばん喋らなかった。
「無言で気息を調えて歩けばよろしかろうけれど、そこが旅は道づれで、いろいろの話をして歩きたいのが凡夫の常だ。よしよし、今度は無言の行を続ける」
とにかく、中の茶屋で休んで、赤飯などを噛っていると、誰も彼も疲れなんどは一時に忘れてしまいました。その元気で茶屋を立って下りにかかりましたが、上りに懲りて無言の行を続けると言った肥満の与力は、渋面を作って口を噤んで歩きましたが、それにひきかえて能登守が今度はいろいろの話をやり出しました。