Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme
こっちからも直ぐたゝきかえしてやる。
隣り同志の壁のたゝき方は色々に変った。それはみんな我々の歌の拍子になっていた。俺ときたら「インターナショナル」でさえ、あやふやにしか知っていないので困った。相手のたゝいて寄す歌が分ると、そのしるしに、こっちからも同じ調子で打ちかえしてやる。隣りはその間、自分のをやめて聞いているのだ。そして俺のが終ると、
ドン、ドン、ドン………………。
と打ってよこす。――これで二人の同志の意志が完全に結ばれるんだ。
毎日々々が同じな、長い/\退屈な独房で、この仕草の繰り返えしは一日の行事のうちで、却々重要な場面をしめている。ある同志たちが長い間かゝって、この壁の打ち方から自分の名前を知らせあったり、用事を知らせあって連絡をとったときいたことがあるので、俺も色々と打ち方の調子をかえたり、間隔を置いたり、ちゞめたりしてやってみようとしたが、うまく行かなかった。
俺だちはお互に起床のときと、就寝のときと、飛行機が来たときと、元気なときと、クシャンとしたときと、そして「われ/\の旗日」のときに壁を打ち合った。――ブルジョワ階級が色んな「旗日」