Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
世間のほかの女が少しも目に入らないというような時代があるものです。」
浅井は軽く応けていたが、同情のない男のように思われるのも厭であった。
「とにかく今少し待って、時機を見て、今一度田舎の方へ話をして見たらどうですか。」
浅井はお今の保護者らしい、穏健な意見を述べたが、いつまでも女の心を自分の方へ惹きつけておきたいような興味が、一層動いていた。仮にお今が、この男と結婚するような時が来る――その場合が、いろいろに想像された。
「失礼ですが、あなたのお考えで、御本人の意志はどうなんでしょうか。この場合の私にとって、それが先決問題なんですが……。」
室はそう言って訊ねた。
「別にこれと言って、はっきりした考えのありようもないのです。何分年が若いのですから。」
浅井は答えたが、お増も傍から口を出した。
「今のうちなら、あの娘はどうでもなりそうですよ。」
そこを出てから、途中で室に別れた浅井夫婦は、このごろ、根岸の別荘を売り払って、神田の通りへ洋酒や罐詰、莨などの店を開けた、隠居の方へちょっと立ち寄ってから、家へ帰った。
「ああして一人の女を思い詰めて、思いが叶ったら、どんな気持がするでしょうね。