Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
「うめえ、うめえ、うめえ、うめえ、うめえ、うめえ」
「まあ、ずいぶんね、え」
天風の頭にはまだ細君の倒錯的な性癖があった。その細君の性癖は蒼白い脂の滲み出たような肉体にかわった。蒼白い鬼魅悪い肉体の感じは緑青色の蛇の腹の感じといっしょになった。彼はまた胃のぬくみを感じた。彼は喫いさしの二串目の雉子焼を置いて急いでビールを飲んだ。
「うめえ」
と、有意らしく云って顔をあげたが婢はいなかった。彼は未だ胃のぬくみが収まらないので、雉子焼を喫ったことを後悔した。自動車の中あたりでもどそうとでもしたならそれこそ艶消しであった。
「お伴さんですわ」
婢の声といっしょに障子が開いてお葉と婢が入ってきた。お葉は婢と親しい間と見えて婢と親しい口のきき方をした。
「後から別嬪さんが来ると云うから、何人かと思ったら、お葉ちゃんじゃないの、野本さん、おおごりなさいよ」
天風は胃のことも忘れて眼鏡の下から小さい眼をいきいきさして、
「はい、はい」
と云ってから今度は冗談の調子をかえた。
「何云ってるのだ、今まで俺を口説いて、待合へ往こうとか何とか云ってた癖に」
天風の冗談を笑った婢はその時お葉とちょと目まぜをした。