Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
「お葉ちゃん何か御饗応になるの」
「私、お腹一ぱいだから、お父さんと小母さんに、お土産を届けてもらいたいわ、鰻を二人前ね、車夫さんに頼んでくださいよ」
と、お葉は婢の方を見ていた眼を天風の方へ向けて云った。
「いいでしょう、野本さん」
「いいとも、俺も腹が一ぱいだ」
婢が往くと天風は時計をちょと見た。
「五分で十二時になる、ひもじくなりゃ、むこうに何かあるだろう、出ようじゃないか」
「もう、ちょっと待ってくださいよ、お土産が出来たのを見てからにしないと安心ができないのよ」
「そうか、じゃビールを一ぱいどうだね」
「ビールもお酒も厭なの、あなたにお酌しましょう」
お葉はビールを注いでから雉子焼に目をつけた。
「これ、あなた、たべてもいいこと」
「いいよ、雉子焼だよ、たべたけりゃ、べつにとったらいいよ」
「いいのよ、これでたくさん」
お葉はそう云って天風の手をつけてない串を執って喫いだした。小さな可愛い唇と、小さな白い歯、天風はそれを見ていた。お葉はみるみる一串の肉を喫ってしまって二串目を執りあげたが、それもみるみる喫ってしまって、今度は天風の喫いさしの串にも手をつけた。