Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
広栄は顔をあげた。
「お客さんか」
「はい」
広栄は婢の手から名刺を執った。名刺には松山良蔵としてあった。
「松山良蔵、どんな男だ」
「二人来ております、その名刺を出した人は、揉あげの長い壮士のような人ですよ」
「揉あげの長い、壮士のような人」ちょっと考えて、「どんな用事か、聞かざったか」
「聞きませんが、聞きましょうか」
「そうだ、どんな用事か聞いてみよ」
「はい」
婢は出て往ったがすぐ引返して来た。
「聞いたか」
「はい」
「何だ」
「当方の家庭のことで、お話ししたいことがあって、わざわざあがったと云いますが」
「当方の家庭のことで、家のことでか」
「そうだそうです」
「当方の家庭のことで」首をかしげて考えてから、「それじゃ、まあ、通してみろ、お座敷にしよう」
「はい」
広栄は急いで机の引抽を啓けて帳面と算盤をしまい、それから硯箱へ蓋をしながら来客の用件について考えた。縁側に二三人の跫音が聞えて来た。婢が客を玄関脇から伴れて来たところであった。広栄は左右に啓けた障子の一方の陰にいたので正面に客と顔をあわせなくてもよかった。客はあの匪徒の中の松山と半ちゃんであった。広栄は客座敷へ入って往く二人の横顔を見て何かしら不安を感じた。