Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
そこへ婢が出て来た。
「それでは、旦那さま」
「そうか、それじゃ茶を持って往け、俺は後から往く」
「はい」
広栄は思いだして、煙草を点けてみたが煙草の味は判らなかった。婢は庖厨から茶を持って来て客座敷へ往くなりすぐ出て来た。広栄は黙って手をあげて招いた。婢もそれと見て黙って傍へ寄って来た。
「あのな、定七に、へんな奴が来たから、そっとここへ来ているように云っとけ」
広栄の声は小さかった。婢は頷いた。
「いいか、そっとだよ」
広栄は平生傍に置いてある松葉杖を執って、それにすがってやっとこさと起ち、境の襖を啓けて入って往った。
「足が悪いものですから、失礼します」
松山と半ちゃんは床の方を背にして胡坐をかいていた。広栄はその前へ往って崩れるように腰をおろして足を投げだした。
「失礼します、こんな恰好をして」
松山はすましていた。
「はじめてお眼にかかりますが、何か当方のことで、いらしてくださいましたそうで」
「そうだ」
「どんなことでしょうか、当方の家庭のことと申しますと」
「すこし、へんなことだから、他の者に聞かしたくない、何人もこの室の中へ通さないようにしてもらいたいが」