Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
ためだった)を一昨年の春み送った十年あとのいまでもかれのかの女をおもううえについてはいさゝかのそこに晴れくもりもない……
「じゃァ、また……」
ふんぎりをつけて田代はいった。
「明日でもまたやって来ねえ。」
小倉はしずかに眼鏡を光らした。
「どこへ?」
「俺のとこへよ。」
「うん。」
「きッと、留守に、菱川から何とかいって来ているに違えねえ。」
「あたしァ嫌だ。――いやなこった。――何といって来たってあたしァ断る。」
「断るにしても、しかし、下手なことをすると後腐れが面倒だ。――相手が相手だ。」
「けど、それは……」
「いゝえ、菱川ならかまわねえ。――が、もし、お前のうけとったその金が楽天坊主から出てゞもいると、どうまた車を横に押して来ねえとも限らねえ。――それァ、あの坊主、あんな太ッ腹のようにみせて、いざとなると執念深い、まむしのような奴だから……」
「…………」
「用心にしくはねえ。――用心しといて間違いはねえ。――だから……」
「…………」
「三浦もきッと来るだろう。――俺たちがいま二人侍で行ったと聞いたら……」
すぐに電車は来た。小倉はそれに乗った。――灯ともしごろのふりしきる雪の中にたちまちその電車のかげはみえなくなった……