Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
「へえ?」田代はいった。
「いゝえよ、西巻よ。」
「…………?」
「ちゃんともう今日でも早く参詣に来ている。――むかしの奴ァ、矢っ張律儀だ。」
田代も、三浦も、由良のその指すほうへ眼を遣った。――その梅だの水仙だの、なかにあって、冬つばきの、哀しくもやさしい真紅のいろを綴っているのが金平さんの心いれだった……
「それにしても、これ。」すぐまた由良はいった。「いつまでこの墓の中に居候させて置くことは出来ない。――そう思っていそがしている。――だから百ヶ日までには、ほんとうの、若宮だけの奴が出来る。」
「あゝ、それは……」
田代はそれにこたえた。
「出来たら、そこで、にぎやかに追善をしてやろうと思っている。――当人の料簡がいじらしいから、……当人のそういうのがもッともだからいまゝでこっちも強情を張りつゞけた。入らざる意地を立てぬいた。――が、もういゝだろう。――百ヶ日までになればもういゝだろう。」
「へえ。」
……とはいったけれど、田代には、若宮がまたどうしてそう儀礼がましいことや供養がましいことを一切やらないでくれ……なぜわざ/\そうしたことを書置に書いたのか? どうしてそうしたことをやられるのが嫌なのか? ――かいくれその理由が分らなかった。