Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
――はじめてゞもみた光景のように、金平さん、そのためトボンとしてしまったらしいんで……」
「いゝえ、そういうこと、わたくしなんぞでもとき/″\あります。始終みつけている光景でも、時の表裏で、いまさらのように、おや? ――そう思って狼狽てゝ眼をこすることがあります。」
「そのなかで、いゝえ、もう一つ金平さんのビックリしたのは俥の通らないこと。――そんなにも自動車や自転車の通るなかで人力というものが一台も通りません。――空俥一つ通りません。」
「なるほど。」
「俥なんてものはなくなってしまったんだ、いつの間にか東京の往来から消えてしまったんだ、だれももうそんなものを相手にするものはなくなったんだ。……はッきりそうその証拠をみせつけられたような、何ともいえない心細い、いやァな気がしたというんですが……」
「西巻さんらしい。」
「そのまゝ電車通りを越して柳橋のほうへ入ったといいます。――義理にもすぐ電車に乗れない、とてもそのまんますぐうちへ帰れない……といったかたちの、そのトボンとした料簡で、代地だったら場所柄だ、一台位通るだろう。……そう思ったんだそうです。が、半チクな時間だったからか因果とやっぱり一台も通りません。