Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
信州北安曇郡の郷土誌を見ると、この郡北城村の切久保という処には、昔おかるという若い女が、鬼女になって入ったというおかる穴という岩屋がある。『小谷口碑集』にもそのおかるの話は出ているが、それは面を被って姑を嚇したら、その面がとれなくなったというような話で、どうも最初のものとはいえないようだが、この穴の口にも村の人たちが、煙草を持って行って供える風があった。おかるは煙草がすきであったからといい、穴の口に置くといつの間にか無くなるとも謂っているが、どういう場合にこれを供えたのか知られていない。秋田県の北部、雪沢村の枝郷の黒沢という部落では、鎮守の雷神様がお嫌いだからと謂って、一村の者すべて煙草をのまず、甚だしくこれを忌み避けたということだが、現在はどうなっているかを知らぬ。西津軽深浦の近くの広戸という部落でも、以前は男女の分ちなくすべて煙草をのまなかった。是は理由を伝えてはおらぬが、多分また信仰からであろうと思う。この二つの事実は菅江氏の『筆のまに/\』に見えている。誠に何でもない小さな事のようだが、始めてこういうことを考え出し、または容易く同意をした人々の、心持はまだ神秘である。