Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
。今でも淋しい日本海の浜などに、毀れて残っている古い仕来りには、沖で夜昼の荒稼ぎをした舟が、戻って来ると家へも行かずに、すぐに村中の娘を喚び集めて、酒盛りをするという話を折々聞くが、是も本来は町の人々が想像するほどに、乱雑な慣例ではなかったように思う。是とよく似た行事は農村にも元は多かった。普通には秋の収穫が終って後、日を定めて男女をともに遊ばせる。そうしてその席には酒がありまた歌があった。是を放恣自由な交際の公認せられたる機会であったかのごとく、一部の好事家は推断しようとしているが、そんな形ではこの風は永く続くことができない。愛情には嫉みを伴ないまた独占を必要としたことは、誰でも知っている通りである。したがって是が正常の婚姻の導きになったことは勿論であろうが、風儀は必ずしもこれに因って乱れはしなかった。非難しなければならぬ悪癖がもし有ったとすれば、それは他の一方の新たな経験、すなわち酒盛りの様式が少しずつ改まって、是に参与した別種の女たちの、軽薄なる恋歌が学び伝えられ、村の少女が黙々として是を聴いていた結果であろうと思う。最近に諏訪の山浦地方で、土地の老人老女の覚えていた歌を数百首、小池安右衛門君が採集したことがある。