Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
バラッと、あたりへ撒かれた鶏血草の種子、伊兵衛の襟にもこぼれました。
――お蝶は倒れます。
落花は繽紛、その時、一風吹きて。
「おさらば、もう山屋敷に用はねえ」
伊兵衛はこういって、豆絞りの上から、フワリと合羽を引きかぶり、一目散にかけ出しましたが、行くこと数歩。
あッ。ドたッ――という音。
見ると、竿でハタキ落とされた蝙蝠みたいに、伊兵衛が大地へ投げられています。元より体に伸びちぢみのある男ですから、そこで鼻血を出してヘタばるようなことはなく、咄嗟に、ぱっとまたハネ起きましたが、時やおそし八方から一時にあらわれた黒衣の群。
「渡せ」
「今のを出せ」
「うぬ、いやとはいわせねえぞ」
ギラギラッと端の方から一斉に抜きつれると、たちまちそこに輪をつくる剣の歯車、伊兵衛の体は心棒の位置に置かれています。
「ふざけるな」
と、伊兵衛は笑って、
「てめえたちは、日本左衛門の手下だろう、御苦労様なやつらだ。この間うちからの張込みで、さだめし足に痺れをきらしたろうから、おれが風を吹かして送ってやる」
いきなり、着ていた合羽を両手にしぼると、それをつかんで縦横無尽です、蚊でもハタくように振廻してゆく。