Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
と注文の品物でも引っさげて来たように、彼の足もとへ、しどけない姿のお粂を突き出しました。
そして、口をそろえて、
「どうも親分、こんな手古摺ッたことはございません。何のかのと駄々をこねるんで、大の男が一汗かいてしまいましたよ。これが自分の女ならば、どうにだッて荒療治をしちまいますが」
「そうか、ウム――」
と、日本左衛門は、自分の足元へ突き倒されてきた惨めな女の姿にジロリと一瞥をくれただけで、
「御苦労だった。こんなことで、てめえ達にまで世話をやかせたのはおれの落度、勘弁してくれ」
「どういたしまして」
愚痴をならべた連中がみな恐縮しながら、
「なにも親分、そう真面目になって、こちとらに勘弁してくれなんて、水くそうございます」
「でも、こんな女の後始末までに、子分の手を煩わすのは、いかにも親分甲斐のねえ話。――おれは面目ないと思う」
いつに似もやらず憂鬱な顔を伏せて、日本左衛門は波うち際の砂をふみつつ、
「アア子分はいいものだ……」
だれにいうともなくつぶやきました。
「――おれには親もなし女房と名のつく者もない、子を持つ親の味も知らなければ、女親の愛情も小さい時から覚えがない。