Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「やれやれ、諸行無常ッてやつだね、南無阿弥陀仏」
「来たついでに、墓詣りでもしてやったら、どんなに功徳か知れまいぞ」
「どうして、そんな暇はねえ体だ。ところで方々、たいそう稽古に熱心だが、また何か近所のお祭りかい?」
「なに、今度はすこし、遠方から頼まれて、明日はそこへ乗込むことになっている」
「遠方へ? ふウむ……どこだえ行く先は」
「今度初めて行く所だが、なんでも、北多摩の端れで秩父境にあたる所だというんだが、そこに、高麗村の狛家というえらい旧家があるそうじゃ」
「狛家!」
というと、伊兵衛はツイと縁がわを離れ、不作法に合羽の裾をまくるなり、一同のいる筵の上へ割りこんで、
「その高麗村へ頼まれてゆくのか」
と、にわかに真剣な目いろになりました。
「何かしらないが、高麗村の御隠家様とかで、今度、稀代な仮面をお手に入れなすッたそうで、お屋敷内の石神堂でその仮面納めの祭りをやるというわけ。――ちょうど来月は秩父三ツ峰の大神楽もあるし、あれから秩父へも近いから、一ツ出かけて見ようかとこッちの相談もきまって、この一組で囃子を調べている最中さ」
「ふウむ……そいつアいい所へ来合せたものだ、じゃあ頼むぜ、おれも一人」