Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「えっ? ……」

と、伊兵衛のことばの意味がくめないで、目をしばたたいておりますと、

「笛でもよし、舞でもよし、鼓師の方だッてかまわねえ。昔とッた杵づかだ、おれも一ツその阿佐ヶ谷神楽のお仲間に入れてくんねえ、え、いいだろう。いやか、いやならいやといって見な、おれにも少し考えがある」

ここにまた徳川万太郎は、熱海へ行った釘勘の返辞を待っている約束で、根岸へ帰った後、しばらくおとなしくしておりましたが、春行かんとする呉竹の里に、歌をよむでなく詩を作るでもなく、無為の日永を歎じていますと、夏めく南風にも欠伸が出、爛熟した花鳥もいたずらに倦怠です。

で、またぞろ、禁足を破ッて、根岸の屋敷を飛び出しました。

外の風に吹かれると、かれの本性は目をさましたようにピチピチして、

「ああ、大名生活は退屈だ」

と、青空の下の自由をよろこび、心ゆくまで世間の空気を吸うもののように歩む。

「あぶない!」

いきなり鋭い声を浴びせられて、びッくりした万太郎が、はッと、うしろを見ると声の主は、もう前の方へ、パパパパッと砂煙をあげて駆け抜けている。

一騎、神田橋から大手の方角へ――

つづいてまた二、三騎。