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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

途端に――

「泥棒ッ!」

と、高麗村の次郎、その体より大きな声で、相手の鼓膜もやぶれよと怒鳴る。

小童の鬼面におどされたとは知らず、伊兵衛もスッカリうろたえて、

「ちぇッ、何をしやがる」

振り払うや、無我夢中、右手の短刀で縦横に暗を斬りながら、ドタドタドタと石神堂からころがり出す。

「どッこい!」

次郎もなみの小僧ではありません。

飛び降りる伊兵衛の襟がみを引ッつかんで、

「小父さん、どこへ?」

目をふさいで、うしろへ引き倒そうとするのを、そのままなおも、伊兵衛が駆け出しましたから、身の軽い次郎の体は、彼の肩先へてんぐるまになッて取ッついて行く。

「ええ、この化け物め!」

身ぶるいをして叫んだ伊兵衛。

何か、不気味なものを振り捨てるように、堂の岡から平庭の方へ駆け出しながら、腰を落として肩越しに、デンと次郎を投げつける。

「あ痛ッ」

と、般若の泣き声。

次郎は仮面をかぶったまま、コロコロコロと築山から芝生の上へころげて行ッて、そこでまた、声いっぱい、

「曲者ッ! 曲者ッ!」

起き上がり小法師のようにピョンと立つ。

――いよいよ面食らッた道中師の伊兵衛は、それとは反対に植込みの中へ身をかくし、物干し竿で追い廻された猫のように、逃げ口の度を失ッて、あッちこッちを駆け廻ッておりましたが、例の馬春堂が封じられた暗剣殺の建物