Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

のうしろまで来ますと、

「おお、伊兵衛助けてくれーッ」

と、突然、針の山から呼ぶような悲鳴。

ひょッと見ると、屋根の上、

青苔の生えている、柿葺をバリバリ破って、そこからやッと、首だけ出した先生の声でした。

その前に。

かの密室において関久米之丞が、戸棚のうちへ刀を逆しまにして突き込んだ時のせつな!

中で、ワッと顛倒した物音は確かにありましたが、幾度かえぐるうちに、少し手ごたえが変るので、そこの戸を開けて見ますと、もう馬春堂の姿が見えない。

身代りになって、臓腑から綿を出していたのは、そこにあった、黴くさい夜具であります。

途端のこと。

ドタドタッと天井裏の家鳴り。

さては! と久米之丞、荒々しく蒲団をつかみ出してその上へ飛び上がりました。見れば、頭の上の天井板が、やっと身をのがれる程剥がれている。

死にもの狂いの馬春堂は、ここから窮地を脱したものとみえます。

彼とて何の猶予がありましょう。

「うぬッ」

と、怒声を投げるや否、つづいて其処から屋根裏へ這い上がろうとしてソッと首をさし入れる。

ところを。

待ッてましたというように馬春堂の足が、力いッぱい、