Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「厄介な奴だ、ぐずぐずしておるまにすし売りが行ってしまうぞ。これ、あのすし売りを逃がすな」
あたりの弥次馬は目をみはって、何事かと、そこに人の輪を作ってガヤガヤと騒ぎ出す。
それにさえ当惑していた家老の権太夫は、伝内のことばを聞いて飛んでもない事と、すぐ駕を上げるように命じましたが、どたどたと弥次馬が寄って来た混雑の瞬間に、万太郎は逸早く、次郎をつれて一散に横丁へ駆け出している。
あとで、おやじと河豚内が、どんな顔をしているかと、そこで腹をかかえて笑った万太郎は、
「ああ、これでやっとのびのびしたぞ」
と、鬱屈していた五体を思うさまのばして、
「次郎」
「はい」
「これから久し振りで、気ままに体の保養をしたいな。わしが思わぬ禍いに遭って、洞白の仮面をたずねることもあのままになっておるが、とにかく、浩然の気を養った上で、またいい分別もあろうというものだ」
「もう、あの晩から、二十日にもなります」
「そうか、早いものだな」
「家では、おっ母が心配しているだろうし、高麗村では月江様が、次郎はどうしているのかと案じているだろうと思うと、おいらも、時々、悲しくなるんです」