Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「心配するな、そのうちに、きっとお前の詫びはかなえてやる」
「でも、あの仮面が、こッちの手へはいらなければ……」と、さびしげに、呟いているうち、彼の目が、ふと向うの立て看板の文字に吸いつけられました。
連日大入りにつき日のべ仕り候――曲独楽娘一座、嵐粂吉。
その辻看板に、嵐粂吉という名を見たものですから、いつぞや髪結が言伝して来たことばを、胸に浮かべたものでしょう、次郎はふと、
「あ。お粂さん」
と、そこで口に出しました。
「お粂さん?」
万太郎も、お粂という女の名は、どこかでうすら覚えのあるような気がする。
そこで次郎の話が、彼に偶然な興味を添えたものか、賑やかな鳴物を囃し立てている空き地の方へ、人波に交じッて流れてゆきますと、
「おい、稲」
と、その人中を外して、前へゆくうしろ姿へ、編笠の縁をしゃくッた二人連れの侍がある。
稲とよばれたのは、前髪でいなせな若者、
「え?」
と、人混みへ目を迷わすと、
「あれへ行ったのは、たしかに、尾州の万太郎じゃねえか」
と、肩に肩を寄せて来てささやきました。
「人中でよく見えなかったが、背イ恰好は万太郎らしかった。だが、何か、紋所が違っていやしなかったろうか」