Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「これから行くか」

「どうもしかたがございません」

「大変ではないか、今夜はここに縛りつけておいて、あしたの朝にしてはどうじゃ」

「いや、先の事もありますから、そうしちゃあいられません」

繩尻を手に巻きつけて、

「おい、あるいてくれ」と、金右衛門の腰を軽く突きました。

浅傷ではありますが、眉間をはすがけに斬られているので、彼の満面はさながら、紅で顔を洗ったようです。

血まみれとなった金右衛門を拉して、釘勘が夜路を麓へ引っ返して行ってから、そのあと、万太郎は次郎を具して、すぐそこなる甘酒茶屋をおとずれました。

内にはやっと明りがついている。

今の者が戻って来たのかとおぞ毛をふるって見れば、また違った二人の来訪者。

こうも時ならぬ時刻に客ならぬ客の訪れる事は、廿酒茶屋開闢以来の異変かもわかりません。

そこで、当然な帰結として、この山頂の一灯の下に、次郎と月江との思わぬ邂逅があったことは、くだくだしければここに略すとしておきまして、ひとつ、万太郎にとって聞きずてにならないのは、たった今この家の棟から逃げていったと聞いた――お蝶のこと、日本左衛門のこと。

ああ、しまった!