Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「わしは考えておる。だれか、狛家に遺恨をもつ者に、殺められたのではあるまいかと」
「おめおめと、そんな策にかかる、お嬢様でもございませぬ」
「では、甘言をもって、かどわかされたか」
「それとしても、何か、便りぐらいは聞こえそうなものと存じますが」
「そうだの、生きたか死んだか、風の知らせぐらいはあってもいい。それが、これほど手をつくしても、行方も知れねば安否も知れぬ」
「さかしい振りをするようでございますが、おりんが考えますには、これはきっと、お嬢様の御気性から、次郎殿をさがしにおいでになったに違いないと存じます」
「次郎をさがしに?」
「はい。お嬢様は、次郎殿がお屋敷から見えなくなったことを、たいそう悲しんでおいでなさいましたから」
「浅慮なやつじゃ」
老人の顔には、ひとりの愛娘を思いやる愛着と怒りとが、抑えがたなく見られます。
おりんは、千蛾老人のその苦悩に、心から同情をよせている。ほんとに今の御隠家様としては、月江様ひとりをこの世の楽しみとしていらっしゃる。その月江様にもしもの事があったら、このお方のあらゆる希望は霧のように散ってしまう。
今はすこやかでお美しいが、やがて良人をもつ年齢になると、必ず若くして死ぬという怖ろしい遺伝の血筋を断とうとして、幾年か御隠家様が苦しまれたのも、月江様が可愛いため、――そうして